業務日誌

上条当麻×一方通行(阿部敦さん×岡本信彦さん)インタビュー

――『とある魔術の禁書目録Ⅱ』も、残すところあと数回ですが、
おふたりにとってこの作品と、演じられているキャラクターはどんな位置づけなのでしょうか。


阿部:『禁書目録』は初めてオーディションに受かった作品で、上条さんは演じてみたかった熱血系のキャラクター。自分にとっては、ホントにどストライクな作品ですね。役が決まったのを機に原作を一気に読み始めて、気がついたら一番好きな作品になってた。出会えてよかった、演じられてよかった作品ですし、声優としての第一歩がこの作品から始まった気がしています。

岡本:僕も似たようなところがありますね。それまではヘタレ系、天然系の役が多くて、一方通行がクール系、悪役系キャラの第一歩かも。ちょうどその頃色々な映画を見てて、ゲイリー・オールドマンさんにすごく憧れている頃で……。

阿部:『レオン』だね、俺も好き。

岡本:です(笑)。最高に好きなんですよ、いつかああいうカッコいいカリスマ的悪役を演じてみたいなと思っていたら、一方通行という素敵な役に出会う事が出来たので、受かった時はホントに嬉しかったですね。
阿部:いきなり振り切った悪役をやることになったんだね。

岡本:一方通行は自分では悪に徹していながら、本当は悪い子ではないんですよね。なので、完全な“悪”になりすぎないように気を付けました。1期の時は、そうゆう面を出せたらいいなと意識して演じていました。映像でも、上条さんに殴られる瞬間とか、実は澄んだ綺麗な目をしているんですよ!

阿部:綺麗な目!(笑)スゲー顔したかなというのは覚えてますけど。

岡本:殴られた後の顔は見せられないものでしたが!(笑)あれはもう書いて下さったスタッフさんたちにありがとうございますと感謝の気持ちでいっぱいです。

阿部:そのあとのエピソードで一方通行のちょっと違う面が出てたよね。

岡本:打ち止めの存在を知ってからの一方通行ですね。2期ではさんざん言ってるんですけど「守るべき者」と最初に出会うシーンなので、あそこからさらに彼の変化を見せなくちゃと思ってました。上条さんは1期以上にブーストがかかって、説教が多くなりましたよね(笑)。

阿部:なったね! 1期は強い敵に立ち向かっていくときに怖さがあったんですけど、2期は躊躇わない、振り切った面がある。多分、自分の中でも物語の中でも、上条さんの人となりが確立したんでしょうね。誰かを助けるためには躊躇わない人間。だから最後まで突っ走った感じです。

岡本:一方通行は真逆。これからも迷いながら生きていくんだろうなって思います。特に打ち止めとのシーンはいつもそうで、彼女に対してどうしていいのかわからず悩んでる。他の人たちと向き合う中で徐々に変わってはきているし、彼女を必ず守るということは頭にあっても、まだ確固たる意志がない。

阿部:少しずつ探しながら進んでる。

岡本:そういう意味ではやっぱり、木原さんの存在が大きかった。あの事件で大きく成長したと感じてます。

阿部:『天罰術式』編はダブル主人公で進んでくじゃないですか。誰かを守るという行為は同じなのに、やってることが真逆。

岡本:一方通行はとにかくボッコボコしてますもんね。ビル飛ばしちゃったり地球の自転狂わせたりまで(笑)。

阿部:対比なんですよね。同じことやってるのに、ここまで手段が違う。でも打ち止めを抱き留めるシーンにはスゴイ優しさが見えたり。

岡本:色んな正義の形がある中で、対極にいるふたりが描かれてるんだろうな。

阿部:上条さんは敵も救うというのかな、事件の後には敵と普通に接せられるところが好き。また出会ったときに「てめえ!」って感じにならなくて「よう久しぶり」って(笑)。

岡本:そういえば上条さん。2期になって敵に対して「お前も救う」って明確に言うようになったかも。

阿部:その辺は彼の記憶がなくなったことに関係してるのかなと思ってるんですよね。ゼロの状態からスタートした上条さんにとって、出会う人出会う人がすごく貴重で、忘れたくない存在。だから、たとえ敵でも大事なんじゃないのかなって。

岡本:上条さんはみんなを守るんですけど、一方通行はどこまでいってもただひとり、打ち止めを守るんだろうなあ。彼女以外は多分、見えてない。最終的には人を殺して日常に戻れなくなるところにまで足を踏み入れてしまって。一方通行は、これからも挫折し続けるんだろうなあ。
――対比して描かれているお互いのキャラに対しては、どんな想いを抱いてますか?

岡本:上条さんは自分の前にいてほしい存在。弱いけど何かしてくれそうで、信念を感じさせてくれるからついていきたくなるタイプ。見ていてすごく気持ちがいい!

阿部:男が惚れる男って感じだよね。

岡本:これぞ「漢」みたいな感じで、カッコイイですねホントに。

阿部:一方通行は打ち止めとの関係がいいんですよ。一見、彼が保護者のようで、時には打ち止めがお母さんのようでもあり。彼女を助けたい一心で動いていて、頑張ってるのにどんどん悪い状況に陥って。大丈夫かな、幸せになれるのかなって、そういうヤキモキ感を感じます。

岡本:確かに幸せにはなれなさそうだな……。2期では最後、覚悟を決めてましたしね。

阿部:1期もそうですけど、2期もまたいいところで終わったので、これは続きを期待せずにはいられないですよねジェネオンさん!っていう(笑)。

岡本:浜面さんもいますしね!

阿部:そうそう、三大主人公勢揃いしてくれないと!(笑)


――では次にヒロインたちについて。それぞれインデックスと打ち止めという、
魔術サイドと科学サイドのキーパーソンを相手にしているわけですが、彼女たちに対しては?


阿部:インデックスは記憶のない上条さんからすると、気がついたら一緒にいた子で背景は全然わからない。でも大切に思っていて、守らなくちゃいけない存在。ホント家族ですよね。2期では戦いのパートナーとしても活躍してくれたので、また新たな関係性も出てきたのかな。

岡本:お説教されてましたからね。いつもひとりで行っちゃってって。

阿部:仲良しですよね、もう。インデックスを巻き込みたくない上条さんの気持ちも、置いていかれる方の気持ちもわからなくはないんだけど、やっぱり自分でも置いていくだろうな。結局、お互いがお互いを思いやってるんですね。

岡本:一方通行と打ち止めも同じ部分がありますね。お互いで支えあう共存関係。一方通行にとっては初めてできた守るべき大切な存在であり、何もかもが初めての存在。にもかかわらず守れなかったりしているので、ホントに命を懸けても無償の愛を贈り続けると思いますよ。それこそ神頼みしてでも幸せになってほしいんだろうなあ。

阿部:木原と殴りあった時の「来いよラッキー」って初めての神頼み、あれがすごく格好良くて。

岡本:自分がグチャグチャになって、プライドがすり潰されたとしても、自分よりも上に来るのが打ち止めなんだろうなって。

阿部:また打ち止めが、時折ものすごく大人びたことを言うわけですよね。

岡本:客観的に見て怖いですよ。この子恐ろしい子だなって思います。

阿部:私が守ってあげなきゃぐらいのこと言う、里菜ちゃんの演技がまたいいんだ。

岡本:うまい。ホントスゴイと思いましたね。また可愛いんですよ、無垢なところは無垢で。 ――ではお互いのパートナーとの関係について、羨ましい部分はありますか? 噛みつかれないとか(笑)。

阿部:まさにそれ! 家事も手伝ってくれそうだし。だって何にもしないんだもんあのニート……。

岡本:そういう意味では、ニートなだけ良いのかなと思っちゃいますね……。打ち止めは放っておくといなくなっちゃいますから。守るべき対象としては、見えるところにいてくれ、そこに寝ててくれとは思います。

阿部:確かになんか素早そうだもんね。打ち止めは。

岡本:そうなんですよ。どこかに行ったと思ったら閉め出されてるじゃないですか、オートロック。

阿部:犬と猫の違いみたいな? うちは猫だな。他の女性と知り合うと怒るしさ。

岡本:そちらは怒るんですよね。今後もどうせ色んな女性と知り合っていくんだろうし、上条さんは……(笑)。

阿部:打ち止めはインデックスにはない活発さが可愛いですね。自分からアクティブに動いて、表情がコロコロ変わって変わって面白い。一方通行との再会シーンもよかった!

岡本:お互い初めて相手の名前を呼ぶところですね。もう、超大好きなんだろうな(笑)。すごくキュンとくるシーンですね。やっぱり見えてないんだろうな、打ち止めしか。

阿部:恋もしてるんだろうなあ、一方通行。

岡本:お母さん的存在であり、恋人的存在であり。いろいろな想いを打ち止めに向けてるんでしょうね。逆にインデックスには何だこの変な子くらいにしか思ってない(笑)。

阿部:会っていきなり奢らされてもね……、困っちゃうよね。すみません(笑)。

岡本:まあ、あれが一方通行の本質、素直なんでしょうね。

阿部:丸くなった。あのとんがった一方通行はもういないんだなって(笑)。
――では今後に向けて期待する部分と言いますか、それぞれ見せていきたい部分などありますでしょうか。

阿部:上条さんの場合は、忘れられがちですが記憶喪失という大前提があるわけです。インデックスを守った代償として失った記憶。明確に描かれるエピソードは特にないでしょうけど、やっぱり根底にあるものとしてそれを踏まえたお芝居ができればいいかなって思うんです。これは完全に僕の技量の問題になってくるので、そこを目指して頑張りたいところです。

岡本:一方通行的には、来るであろう第二位との決闘が個人的に楽しみです。そういう戦いって、すごく熱いですよね!今から燃えてます。

阿部:誰が一番強いのかはやっぱり気になるよね。

岡本:戦った時にどうなるのかって。第三位の美琴さんも十分強いし、多分、第四位の麦野さんも出てくると思うので『超能力者(レベル5)』の人たちの存在と戦いを見て血をたぎらせてくれれば嬉しいです。一方通行の中身で言えば、打ち止めとの向き合い方でしょうか。会わないときでも強い想いは抱いているので、感情面を見せていければと思います。一ファンとしては、上条さんの右手がどうなってるのか気になります!

阿部:それは知りたいな、確かに。科学・魔術のどちらのサイドにも属してない感じだから。俺はそうだなあ、魅力的な男性キャラも多いので、その人たちとの対決が見てみたい! 上条さんが関わる関わらないを置いておいて、思わず拳をギュっと握ってしまうような、見ていて胸が熱くなるようなバトルを見たい!

岡本:2期は特に女性が多かったからね(笑)。胸熱展開で、上条さんとの再戦も見たいね! 3期があれば!

阿部:3期では難しい、多分4期だな!(笑)
――では最後に。最終話を楽しみに待ってらっしゃるファンの方々にメッセージをお願いします。

岡本:2期になってから一方通行の出番が増えて、良い意味でスポットが当たり始めて、最終話に向けて頑張っておりますので、彼の活躍をぜひ見て頂ければ。同時に、カエルさんって何であんなにカッコイイんでしょうね。

阿部:カエルさんカッコイイね!

岡本:ホント格好良すぎて。カエルさんカッコイイです!とその一言です。

阿部:最終話はそこまでやっちゃうの?っていう内容です。ひとつの大きな事件が片づいたけれど、それはさらに大きな事件の序章でしかなかったみたいな。みなさんもその後が気になるでしょうし、僕らも気になるので、応援があれば、続きがやれたりすると思いますのでぜひぜひよろしくお願いします!

――ありがとうございました!
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